拙者バイトしておる。 ホームセンターの雑用である。 今日は日用品の入荷日で、 拙者の目の前に須弥山のようなティッシュペーパーが積まれておる。 店長が言った。 「これを倉庫の中に積んで塔にしろ」 、と。 ふざけるな店長。 ファッキン店長。 しかし拙者積むしかあるまい。 だって下っ端だもの。
これだけのテッシュがあれば一体どれだけの紳士が股間の紳士を紳士することができるのだろうとティッシュを積みながら考えた。 このティッシュでできたチョモランマは120セットあると店長が言っていた。 着実にバベルの塔を築きながら拙者計算した。 一箱に300枚、 二枚セットであるから150組。 ダンボール一つにティッシュの箱が12箱入っておる。 そしてそれが120セット。 おお、 なんと216000枚もあるではないか。
我々紳士は一人一人が野獣を飼っておる。 時に理性を激しく侵食し、 なかんづく紳士として相応しくない行動を取らせようとする野獣である。 よって我々紳士は紳士することによって股間の紳士を紳士たらせようとするのが自然の摂理である。 一度の紳士で何枚のティッシュを紳士するのかには個人差があるだろうがIRCの連中に聞いたところ快く応えてくれた。
23:00 ([zora]) 男連中に問う@
23:00 ([zora]) 股間の紳士をなんとかするときにティッシュを平均何枚使うか
23:00 ([zora]) 教えてくれぬか
23:00 (A) それは興味深い。
23:01 ([zora]) 使わぬわとか
23:01 (B) 寝ちまえ
23:01 ([zora]) それでもよいぞ
23:01 ([zora]) いや重大なのだ
23:01 (C) ストレートすぎてびびる質問だな
23:01 ([zora]) これで日記が書けるかどうかの瀬戸際なのだ
23:01 (D) 4('A`)
23:01 (C) まぁご自身の経験を言ってからじゃないと
23:01 ([zora]) 拙者五枚である
23:01 (C) 困るぜ
23:01 ([zora]) おまえら
23:01 (B) 酒も飲まずにんな会話できるか
23:01 (A) 効率の問題なのか、量の問題なのか・・・
23:02 (E) ん
23:02 (C) 4
23:02 (A) まあ強制じゃなかろうよ
23:02 (E) 4、5枚かなあ
23:02 ([zora]) 強制ではないぞよ・・
23:02 (E) 4枚かな、
23:02 ([zora]) なんと意外に多いではないか
23:02 ([zora]) いや参考になった
全く素敵な連中である。 よし、 平均で4枚と考えよう。 そして216000を4で割るとなんと54000人もの紳士が紳士できるではないか。 拙者喜びに打ち震えながら妄想した。 この町の紳士が次から次へと店へやってきてティッシュを買っていく。 家に帰った紳士はご近所の紳士にティッシュをお裾分けし、 次から次へと町中の紳士へ紳士の輪が広がっていく。 彼等は皆同じ志を持った者達であり同時に身中の虫である野獣を調伏せんと決意する戦士たちである。 そして紳士はおもむろに紳士を押し広げ紳士を紳士することによって紳士を高め荒ぶる紳士を鎮め全てのエネルギーを紳士し、 「キャッチ・マイ・ハート!ベリーメロン!」 の掛け声と共に世界平和を紳士するのである。
そろそろ読者諸君の紳士がゲシュタルト崩壊するころだと思われるが、 拙者は目の前のティッシュがゲシュタルト崩壊しておる。 うずたかく八段に積まれた高さ十メートルにも及ぶティッシュで出来たバベルの塔が私の脳を圧迫しておる。 そして店長が言う。 「その塔、 崩して店内に陳列してこい」 まるで賽の河原の鬼である。
一つ積んでは父のため 二つ積んでは母のため
兄弟わが身と回向して 昼はひとりで遊べども
日も入りあひのその頃に 地獄の鬼があらはれて
積みたる塔をおしくづす
あー あー あーやや あーやや あーーーーーーーーーーー
全くこの世は世知辛いったらありゃしないのである。